秋山槙太郎さんの投稿小説

男曼荼羅/男の世界

 (371) 小石川の切腹の稽古-2 

2024/04/20



  【筆者からのお願い:この回では、切腹をめぐっての『死』の問題が出てきますが、
   これは決して『死』を奨励したり美化するものではありません。単なる作り話、物
   語の流れとしてのものです。誤解をなさらないようにお願いします。】

 

小石川の切腹、、重雄の目の前での切腹、、それは稽古とはいえ、凄まじ

さがあった。重雄にとっては初めて見る切腹の稽古、、昔、東映映画の中

で、よく見た切腹のシーンが蘇ってくる思いだった。

 

武士、、大人の男の切腹の中にエロさが秘められていたのか、重雄が締め

ている越中褌を突き上げていたのだ。重雄は興奮していたのだ。

 

「署長、、、」重雄は呆然としたような顔をしていた。

それを見た小石川は、

「どうだ、俺の切腹の稽古を見て、、」

小石川の顔は、先ほどの厳しさの混じった顔とは打って変わって穏やかな

ものだった。色白の顔、、ふっくらとした中にもキリッと引き締まった顔

の小石川には、魅力が溢れていたのだ。

 

それは、、重雄が小石川に惚れ込むようなものだった。

実にいい男、頼れる男、、、すべてを小石川に預けてしまいたい、、そん

な思いに駆られれくるのだ。

 

「はい、、わし、、こんなに切腹というものが厳粛というか、潔いという

か、、こんな凄まじいものとは思いもしませんでした、、、」

「そうか、、お前はこんな切腹の稽古を見たのは初めてだろ」

「はい、初めてです、、武士というものは、、こんなにまでして、死の覚

悟を決めなければならない時があるんですね、、、」

 

「重雄、、怖いか、切腹が、、」急に小石川の顔がキリッとなってきた。

「はい、、でも、わし、、今、頭の中がいっぱいで、、、何というか、、、

でも、怖くはありません、、潔(いさぎよ)い男の死に方だと思います、、

それに男だけしか出来ない死の選択だと思います。

厳しさがあるものの、、上司に報うための一番綺麗な死に方だと、わし、

そう思います、、」

重雄は言葉を探していたが、頭の中がまだ混乱していたのだ。

 

「ああ、そうだよ、その通りなんだ。男のケジメなんだ。男として生きて

いくからには、いつでも死ねる、切腹が出来る、、そんな覚悟を持って生

きたい、俺は、そんな男でいたいんだよ。俺はそんな生き方をしているん

だ。重雄、おまえ、人のために死ねるか?」

「えっ、人のために、、ですか?」

重雄はどう答えていいのか分からなかった。人のために死ねる、、簡単に

答えられない質問だったからだ。

 

死というものは決して軽いものではない、、命の尊さを知っているだけに、

余計に死の重みを感じてしまうのだ。

 

「ああ、その、人のためだ。心から尽くしている方のために死ねる、これ

ほど喜びに繋がるものはないんだ。そんなお方のために、自分の命を捧げ

る、、切腹してその恩に報いる、、そんな人がいることは、幸せなことな

んだ。

そんな人のために死ねる、、切腹できることほど幸せなことはないんだ。

俺には、そんなお方がいる。俺はその方を心から尊敬しているし、敬愛し

ている、、、その方のためならいつでも死ねる覚悟をしている、、」

 

小石川の生き方に対する信念は、男気のある堅いものだと重雄は感じた。

 

「署長、、、いつかわしに切腹を教えてください、、お願いします、、」

その重雄の言葉に、小石川はすぐには応えなかった。何かを考えているよ

うだった。

「そうだな、、いつかおまえに切腹の仕方を教えてやろうか、ふふふ、、

、」

「はい、署長、ぜひ、わしに教えてください、、」

 

重雄は教わりたいのだ、、小石川から切腹のやり方を、、それは、、次第

に芽生えてくる小石川への思慕、、熱い思いからだった。

「わかった、いつかお前に、教えてやるよ」

 

   *   *   *

 

それからの重雄と小石川の柔道の稽古は続いた。

毎週金曜日、稽古をする時間は遅かった。それは他の署員には気づかれな

いように、8時過ぎに道場で待ち合わせをして、二人の稽古は続いたのだ。

 

約1時間程度の稽古が終わると、二人は連れ添っていつもの若駒で飲んだ

のだ。そして、時には、、署長官舎でお泊り、、そんな形が次第に定着し

てきたのだ。

 

今日は金曜日。いつものように仕事をしていると、重雄の席の電話が鳴っ

た。それは内線からの電話だった。

内線101、それは署長からの電話だった。

 

「おう、俺だ、今日は打ち合わせ会があって俺は遅くなる。稽古は9時ご

ろになるがかまわないか?」

「はい、大丈夫です、では9時に道場で着替えて待っています」

「うん、わかった」

すると重雄はときめいてくるのだ。心が熱くなってくる、、憧れの男、署

長、、今夜は遅い時間での練習となると、後はきっと署長官舎での泊まり

になる、、そう思うと、重雄の股間が疼(うず)いてくるのだ。

 

重雄は、、署長と男同士の肉体関係を結んでからは、、稽古のたびに小石

川の体、肉体が恋しくなってくるのだ。

しかし今の二人のセックスの在り方は、、オーラルセックスだった。口や

手でやるセックス、、決してアナルセックスではない。

 

オーラルセックスは、言ってみれば子供のような幼稚なセックスだ。

ただ単に射精するためだけに口や手で愛撫するようなセックス、、男を十

分に知っている小石川、今のセックスではあまりにも物足りないのだ。

 

好きな男、重雄への思いが強くなればなるほど、いつかは重雄と、、体を

繋げたい、、アナルセックスをやりたいのだ。

惚れた男とのセックスは、オーラルセックスではあまりにも物足りないの

だ。やはり体を繋げる、、夫婦のセックスのように体を一体に繋げたいの

だ。

 

自分の魔羅をギンギンに勃てて、惚れた男の尻の中へ突っ込んでの結合、、

そして自分の精液を、、惚れた男の体の中へ放出し、、相手を孕(はら)

ませるかのように精子を染み込ませたいのだ。男だったらそんな想いは当

然のことだった。

 

やはり精力の強い小石川は、いつかは重雄と、、強い絆を結びたい、、二

度と忘れられないような二人だけの結合を楽しみたい、、、だから、いつ

かは必ず重雄と男同士のおまんこ、、、肛門性交をやりたかったのだ。

 

一方の今夜の重雄、、9時過ぎの道場、、そこで重雄は柔道着に着替えた

ままで小石川が来るのを待っていた。

小石川を待つ間の重雄の気持ちは、今夜はなぜが熱いまで込み上げてくる

ものがあったの。それはムラムラするような気分だった。

 

(わし、、署長に会いたい、、早く会いたい、、待ちきれないよ、、わし

、、署長に惚れ込んでしまったみたいだよ、、署長、、わし、署長が好き

です、このことを、、わし、署長に言いたい、、告白したいよ、、)

 

重雄の熱い思い、、その思いが、、署長に伝わらないのだろうか、、。重

雄は署長の小石川が重雄のことをどう思っているのか知りたいのだ。

 

(署長は、、わしのことをどう思ったいるのだろうか、、ただの部下とい

う存在だろうか、、それとも単なる稽古の相手だけなのだろう、、、署長

が自分のことをどう思っているのか、わしは知りたいよ、、)

 

                            (続く)






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