小意気爺さんの投稿小説

熟年慰安夫

 (22)

2024/04/22



充は大路が宿泊しているホテルを訪ねた。

ドアをノックするとすぐに扉があいて招き入れられた。

「やっと来てくださったのですね。

この前に来てもらって以来、相生さんに会いたくて待ち続けていたんです

よ」

大路はホテルのガウンの下に何も着ていなかったのでガウンの前がすこし

開いていて大きなペニスが丸見えだった。

充が来たらすぐに抱き合いたいと思っていたのだろう。

「すこしそこのソファーに座ってお話をさせてください。」

充の予想に反して座って話したいというので意外だった。

ソファーに座るとガウンの前がはだけて陰毛まで見えて、既にペニスが立

ちかけていたので大路は慌ててガウンの前を掻き合わせた。

「忙しいのに来てもらって、ありがとうございます。

相生さんに早く会って強い欲求を満たしてもらわなければ、仕事の最中に

ふとした瞬間に先日の快感がよみがえって仕事に集中できなくなるんです。

それで、毎日、お宅の事務所に電話をしていたんですが、相生さんがいつ

も不在だったのです。

相生さんは素敵な方だからお客さんの派遣要請が絶えないんでしょう。

定期的に私のところに来る予定にしてもらえませんか。

一度、所長さんと話し合ってみてください。」

充は大路から毎日、電話が掛かってきていることを知らなかった。

邦仁が自分の知らないうちに大路の派遣依頼をことわっていたのだろう。

大路が充は人気サービスマンで、方々へ派遣されていると誤解しているの

は明らかだった。

「強い欲求があって我慢できなくて相生さんにお願いしているのですが、

それ以外に、お願いしたいことがあるんです。

ご存じのように私は工場の成績不振のテコ入れに本社から派遣された人間

です。

それで、工場の方たちは私を煙たがって仕事以外の事は腹を割って話して

くれないのです。

まるで言葉の通じない国で仕事をしているようで、寂しくて堪らないんで

す。

それで、相生さんに来てもらった時に話をしたいのです。

同じ年頃だから色々な話題を話せるとおもうんです」

「私は大路さんのような立派な人間じゃありません。

リストラ直前に希望退職した男ですから、話し相手にならないとおもいま

す」

「それはちがいます。

人の値打ちは会社と関係ありません。」

 

                           (つづく)






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