小意気爺さんの投稿小説

熟年慰安夫

 (20)

2024/04/20



充は午後の早い時間から邦仁を抱く結果になった。

邦仁に挿入して、邦仁が気持ちいいという姿勢でゆっくり腰をつかってい

た。

「儂がこんな早い時間に抱いて欲しいというのを、充はなんと言う好色シ

ジイだと思うかもしれないけれど、快感を味わいたいわけじゃないんだ。

儂はそんな歳ではないから違うんだよ。

充は壮年期で欲望も強いだろうし、大路さんも同じ年頃で体格もよく壮健

だから、転任以来満たされなかったものを充に期待していたに違いない。

充が大路さんと抱きあって体が熱くなって中出しして最高の快感を味わっ

たに決まっている。

充が儂から得られない快感を大路さんから感じるために、儂を捨てるので

はないかと心配で堪らないんだ。

儂を抱いて安心させてくれるだけでいい。

このままじっと抱き続けていてほしいんだ。」

「邦さんのネガティブ思考がはじまりましたね。

ネガティブな事を考えたらだめじゃないですか。

僕が大路さんとやりたいために邦さんを捨てるような男とおもっているん

ですか

邦さんの気持ちが落ちついて、もういいと言うまで抱き続けます。

それで、今夜は邦さんが「満足したから眠ろう」というまで尽くしますか

ら、それでいいでしょう」

 

その時、電話がかかってきた。

充がペニスを抜き、邦仁は全裸のまま別室の受話器のところへとんでいっ

た。

「はい、柴田です、どちらさまですか」

「人材派遣サービス事務所の所長さんですね。

先日、相生さんに来ていただいて大変お世話になった大路です。

今夜、この前の様に宵の時間帯に相生さんに来ていただくことはできます

か」

「生憎、相生は他の所に行く事になっておりまして、残念ながら派遣する

ことはできないのです。

折角、電話をいただいたのに申し訳ありません」

「では、相生さんの都合が付くようでしたら連絡いただきたいので、よろ

しくお願いします」

邦仁は大路に嘘の返事をしていた。

寝室から充が大きな声で聞いた。

「邦さん、誰だったんですか」

「いや、よく知らない人からだったよ。

用件がよくわからないんで切ってしまった。

必要ならまた掛けてくるだろうから気にすることはない」

 

邦仁が寝室に戻ってきた。

「邦さん、途中になってしまったけれど、つづけましょうか」

「もう一度奥まで入れてきつく抱きしめてくれているだけで、ほかに何も

してくれなくていい。

儂はそれで十分満足だ」

 

                           (つづく)






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