爽快爺さんの投稿小説

世之助 男色回顧録

(105) 

2024/04/24



「僕は橘君に頼んで無理に都合を付けて貰ったんだ。

真澄主任にそういわれても・・・」

与之助は口を挟んだ。

「私は帰ります。

次長は今日、時間があるとおっしゃっていたから、久しぶりにゆっくり一

緒にすごしてください。

じやあこれで・・・」

「ちょっと待ってくれ、橘君。

君は真澄主任とは・・・」

真澄主任が割って入った。

「橘さんとはずっと以前に一度ご一緒したことがあります。

こんなことを言っては申し訳ないですが、橋本次長にも橘さんにも尽くし

ますから、是非御願いします。」

「真澄主任は今から約束した相手がいるんだろう。」

真澄主任は突然携帯電話を取れだして、しゃべり始めた。

「すまないが都合が悪くなったから、今日はキャンセルさせてくれ。

必ず今日の埋め合わせをするから了承してくれ」

真澄主任は次長と与之助にこれから一緒にさせてもらったら絶対に満足し

てもらえるように尽くすからと強引に次長に頼みこんでいた。

「橘君、こんなことになってしまったが、どうしたものかねぇ。

三人が同じ部屋に入って、二人が体を交わしている間、もう一人がそれを

見ていることになるんだよ。

そのようなことは、僕は今までの真澄主任との関係で仕方がないから我慢

することとしても、橘君は嫌だろうねぇ」

「主任とはこれからの仕事でお付き合いき合いが長くなりますから、真澄

主任はそんな方だとは思わないですけれど、個人的なことで恨まれて仕事

上でぎくしゃくした関係にはなりたくないです。」

「橘さん、俺は人を恨むような人間じゃないです。

橘君に嫌な思いは絶対にさせない。

俺の切なる願いを聞いて欲しい。

我慢して呉れないか。

必ず満足してもらって、俺と抱き合って良かったと思って貰うように尽く

すから、承知してくれ」

与之助は首を立てにふった。

「次長も橘君も御願いを聞いてくださるんですね。

変な言い方ですが、せめてものお礼に今日のアパートの支払いは全部私に

持たせてください。

ああ、よかった。ありがとうございます」

 

                           (つづく)






トップ アイコン目次へもどる    「爽快爺さんの小説一覧」へもどる
inserted by 2nt system