丹生鳥野さんの投稿小説

宇宙の意識

(8) (最終回)

2024/04/23



次田の話が続いた。

「今の話で情報は無限遠に瞬時に届く性質があるのだから、マルチ宇宙の

どこかから何らかの情報が我々に届いているかもしれない。

僕の妄想だけれど、マルチ宇宙のどこかから無限遠の我々の銀河系に宇宙

の意志を発信しているのではないかという気がする。

この情報が僕のいう『宇宙の意志』なんだ。

 

突然、現実の世界の話題に戻ってしまうんだけれど、『宇宙の意志』は世

界中が私利私欲に凝り固まって互いに争っていたら、そのうちに歯止めが

効かなくなって、人類が滅亡するから愚かな行動をとるなと警告を発して

いるのではないか。

互いに相手を認めず、争っているのは『宇宙の意志』に反していると思う

んだ。

しかし、もし、発信していても我々にはその情報をキャッチする手段がな

い。

僕のテレパシーのようなものだ。

だれも受け取ってくれないよ。

 

世界最古の土器文明を築いていた日本の縄文時代は、一万年以上争う事が

なかったという確かな事実として考古学では推論されている。

縄文時代の集落では内部では細かい諍いぐらいはあっただろうけれど、全

体的には争っていない。

このような1万年もの長期の平和状態は世界の何処にもない。

日本が世界に誇る事実だ。

縄文人がどのようにして平和を保ったか調べて、我々はその手段や方法を

理解して取り入れるべきだと思うけれど、目先に利益がちらついたら長期

的考えがすっ飛んでしまって争ってしまうんだろうね。

争って何かを手に入れたとしても、お互いに滅んでしまったら手に入れた

ものが何の役にもたたない。

 

話がテレパシーと全然違う方向に行ってしまったね。

僕の独演会みたいになってしまって申し訳ない。

この次に上保君と飲むときは上保君の独宴会にしよう」

「いや、飲み屋で上司の悪口を言って飲むのは最低だから、こんな話もた

まにはいいんじゃないか。

また近いうちに違う話題で飲みたいね」

 

                           (おわり)






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