秋山槙太郎さんの投稿小説

男曼荼羅/男の世界

 (376) 署長(小石川)への回想-2 

2024/04/25



ここは重雄の家、、真夜中のセックスを終えた熊五郎と重雄の二人は、素

っ裸のままで抱き合って寝物語をしていた。

 

かつての上司、署長との初めての肛門性交、、それは嫁とのセックスを遥

かに凌ぐ気持ち良さだった。当時のことを、重雄は熊五郎を抱きしめなが

ら話をしていたのだ。

「いや、実を言うと、署長はすでに多くの男がいたんだよ。わしは、署長

にとっては自分が初めての男だとばかり思っていたんだ。ある時、署長は

わしに言ってきたよ、、」

 

   *   *   *

 

再び、二十数年前の重雄と署長の小石川、、ここは署長官舎、、

 

「重雄、おまえ、俺の精液が飲めるか?」

小石川からの突然の卑猥な話、、、素っ裸のままで抱き合っている二人、

、。ここは署長官舎、、いつもの柔道の稽古を終えた後の二人は官舎でセ

ックスを始めたとき、小石川は重雄に聞いたのだ。

 

「えっ、、精液ですか、精液を飲むのですか?わし、、飲んだことはない

のですが、、、」

重雄は、男であることの『印(あかし)』、、精液を飲むこと自体考えら

れないことだった。それは「男」を知ったばかりの重雄にとっては当然の

ことだった。

 

「うん、そうだろうな、、おまえ、俺が初めての男なんだろ?」

「はい、そうです、、」重雄は、署長が一体何を言いたいのだろうか、、

と思ったのだ。

「そうか、、じゃあ無理だな。でもな、おまえの同僚の尾上はわしの精液

を飲んだぞ、ふふふ、あいつ、俺と初めてやったとき、俺に精液を飲ませ

てくれって、、俺に言ってきたよ、だから俺はあいつに飲ませてやった。

あいつ、1滴も残さず俺の精液を飲みやがって、、ふふふ、あいつ、俺の

精液が美味しいと言っていたよ」

 

小石川は、すでに自分の男にしている重雄と同僚の尾上が、小石川の精液

を飲んだことを平然として言ったのだ。

それは重雄にとってはショッキングなことだった。小石川の男は自分だけ

だと思っていた重雄、、小石川には自分以外の男が居た、それも、自分と

ライバルのような同僚の尾上が、、、そう思うと、ショックを受けたのだ。

 

「えっ、、尾上って、わしの同僚のあの尾上がですか?」

重雄は絶句した。同僚のあの尾上、、ライバルのような尾上が、、この署

長とすでに男同士の肉体関係を結んでいるのかと思うと、ショックだった。

そしてムカムカと尾上に対抗意識を持ってきたのだ。

 

「ああ、尾上のやつ、俺が射精しようとするとき尺八をしたままで俺の精

液を飲んだよ。ふふふ、、あいつは初めから俺の精液を狙っていたみたい

だった。

最後は俺の陰茎から残りの精液を絞り出すようにして飲みやがったよ、ふ

ふふ、、あいつ、意外と可愛いやつだ」

その小石川の言葉に重雄は頭の中がカーッとなってきたのだ。

 

署長は自分だけの男だと思っていただけに、同僚の尾上がすでに署長とセ

ックスをしている、、おまけに署長の精液を飲んだとなるとムカついてき

たのだ。

 

「署長、わしにも飲ませてください、、わし、署長の精液を飲みたいです、

どうしても飲みたいです、、飲ませてください、、」

重雄は必死に小石川に頼み込んできたのだ。尾上に負けたくないのだ、絶

対に負けたくない、、署長をライバルの尾上に取られたくないのだ。重雄

は必死に小石川に頼み込んだ、、、、。

 

   *   *   *

 

「わしはその時、生まれて初めて精液を飲んだよ。署長の太いチンボを尺

八しながら、わしは署長に無理を言ってまで飲ませてもらった。

わしの口の中へ射精してきた署長、、口の中がいっぱいになるほどの量の

精液、、わしはそのまま飲み込んだ、、。味は血液のような感じだったが、

けっしてイヤなものではなかった」

重雄は、熊五郎の体を抱いたままで話をしている、、。

 

「あの時、わしは初めて知ったんだよ、、署長の「男」はわしだけだと思

っていた、、しかし、署長には多くの男がいたんだ。

ショックだったけど、あの署長だったら男が何人いても不思議ではない、

モテる男だっただけにな、、、。

わし、、一気に落ち込んでしまったよ。でも、署長のわしに対する気持ち

は変わらなかったし、わしも署長に惚れ込んでいたからな、、、だからわ

しは、署長に気に入られようと一生懸命尽くしたよ。

しかし、、いくら尽くしても、、署長にはわし以外の男がたくさんいると

思うと悲しかった。

 

あの頃は、こんな事例がいくらでもあった。ただ、みんな黙っているだけ、

隠しているだけだった、、。

あそこは意外と男好きが多かったよ。みんないい体の男ばかりだったから

な、、。柔道の稽古をしていると、どうしても男同士で体を合わせるから、

特に寝技になるとアソコがこすれてきて勃ってくるよな、、すると二人の

間に、男の関係が芽生えてくるんだ。

 

中には、それが目的で、稽古の相手を指名してくる先輩もいたよ。気に入

った男を練習に誘って、そして寝技で押さえ込んで、、そのまま男の関係

を持つ奴もいた、、。

尾上もそのうちの一人だったんだろうな。あいつはあっちの方は積極的だ

ったから、尾上から署長に稽古を申し込んだと思う。尾上はガチムチの良

い体をしていたから、署長の目に叶ったんだろうな、、

 

でも、なんだかんだあっても、わしはな署長が好きだったよ、、、。署長

の身体はずんぐりムックリの体型だった。

熊五郎、おまえのような体型だったよ、、だから、おまえを見たとき、、

わし、署長を思い出してな、、、

 

あの頃、柔道の稽古だけでなく、わしは署長から切腹のやり方、作法を教

わったんだ。男同士の切腹、、それは主従関係の強い絆だった、、それに

潔さだった、、、だから今でもわしは、署長には絶対的な服従をしている

んだ。

この方のためならどんなことでも出来ると今でも思っている。署長のため

なら切腹できる、自分の潔い気持ちを署長に知ってもらいたい、、そんな

気持ちが今でも続いているよ。

 

署長があの警察署に赴任してきて2年が経った、、2年周期の人事異動、、

わし、、署長が転勤でこの地を去ったとき、、わしは泣いたよ、、、辛か

った、、

 

わし、、、あのとき、異動で署長が去る前に、わしに言ったことがあるん

だよ、、

『重雄、セックスというものはな情でやるものなんだ、決してテクニック

の問題ではないんだよ、要するに心だ、心がこもっているセックスが一番、

いいんだよ。

それに、、俺が可愛がってやった連中は、自分が転勤で去っていくとなる

と、途端に他人行儀な振る舞いをする奴がいたり、俺から離れていった奴

もいた、、しかしお前は違っていた。お前だけが俺に最後まで尽くしてく

れた』、、、、と感謝されたよ。だから、今でも署長との付き合いは続い

ているんだ。

 

わし、今度、T市へ用事があるから行くが、おまえも一緒に行くか、わし

とどうだ?

実はな、その署長が定年退職してからは、T市に住んでいるんだよ。

だから、半年に一度はわしは署長に会いに行っているんだ。署長は、今で

はもう73歳だ、、今は一人で住んでいるんだ。どうだ熊五郎、お前もわ

しと一緒に行くか。その署長に会わせてやるよ」

 

「はい、わし、一緒に行きたいです、、お父ちゃん、いいの?わしがお父

ちゃんと一緒に行っても」

「ああ、もちろんだよ。ところでおまえ、T市で誰か知り合いでもいるの

か?」

「はい、います。わし、、一年ほどT市に住んでいました。T市にある若駒

という小料理屋で働いていました。そこの親父さんに色々とお世話になっ

て、、、」

 

「なに、若駒だと、、えっ、お前、その店は、、まさか、、ひょっとして

錦町にある若駒か?」

「はい、あそこは錦町だったと思います。そこの若駒で働いていました」

「えっ、、、熊五郎、お前、あの若駒で働いていたのか、、そうか、そう

なのか、、それはなんと奇遇だな、、」

 

                            (続く)






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