しげ坊さんのエッセイ №381 

  

旅とことば

7.韓国(1)

2024/04/23



2011年から約2年間、韓国の国営企業のコンサルタントとして働き,月に1回、

1週間ソウルの中心街にある雑居ビルの国営企業分室の事務所で働いた。

事務所の前の大通りには銀行が並んでいた。

事務所から大通りを隔てて百貨店と大ホテルがあって、その裏側に国際会

議場があった。

すこし離れたところに国営企業の本社があった。

この辺りはソウルの絵葉書にも写っていた。

 

国営企業からはビジネスクラスの航空券とホテル宿泊代が支給され、約1

間の支給額は新卒大学生の
1か月の給料より高額で、こんないい待遇はなか

った。

その企業は各地に事業所をもっており、プラントの設備は日本の重工業か

ら輸入していたが、新規に建設するプラントの設備をドイツから輸入する

ことにしていた。

企業内にエンジニアはいるのだが、新設プラントの中心となる設備につい

ての知識があるエンジニアが企業内にいなかった。

新設備の中心となる設備は、私が退職するまで開発していた設備で、「旅

とことば 
6. ドイツ」で書いていたドイツの会社から設備を輸入すること

が決まっていたので、私がコンサルタントとして雇われた。

 

国営企業は各地方にある事業所の主要設備を従来から日本から輸入してい

た。

その関係で技術部長は日本の滞在経験があって、日本語が堪能であった。

また、通訳の若い職員は日本で日本語学校に通っていたので、日本語会話

は勿論、読み書きも完璧だった。

それで、韓国語書類の必要部分は日本語に翻訳され、私の報告書は全て韓

国語に翻訳されたので、事務所内にいる間は全て日本語で用が足せた。

 

昼食は事務所からすぐ近くの本社の社員食堂で日本語通訳の彼が自分の食

券で食べさせてくれ、夕食はほぼ毎日、部長が近くの食堂に連れて行って

くれた。

昼食に本社食堂でなく街の食堂で通訳でない職員と一緒に食事をした時、

こちらも払うと言っても「上司から支払うようにいわれています」といっ

て払わせてくれなかった。

韓国では一般に「割り勘」の習慣がなくて、年長者や目上の者が払うよう

だ。

 

余談だが、ほぼ、毎日、若い通訳と過ごしていたので、仕事の合間に雑談

することがあった。

韓国には兵役の義務があり、彼は大学卒業後、すぐに軍隊に入った経験が

あった。

韓国でも新兵いじめがあったようで、彼より若い兵に殴られた経験があっ

たようだ。

 

                            しげ坊






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