しげ坊さんのエッセイ №379 

  

旅とことば

6.台湾(3)

2024/04/19



台北で一泊して、次の日はCAD会社にいった。

CAD会社では設備内に設置されたプロセス用の複雑に入り組んだ配管やダ

クトの引きまわしをグレーチングの階段、歩廊を通って障害物がなく安全

に歩くことが出来るかのチェックだった。

設計図をもとにした3次元グラフィックスの立体画像が画面に映し出され、

コンピュータ・グラフィクスの中を人の大きさの絵をコンピュータを操作

して自由に移動させ、頭上に配管やダクトのあるところ、足元にバルブや

その他の機器があるところに移動して、人と対象物のクリアランスを調べ

て人の移動に支障がないこと、危険がないことをチェックした。

また、危険はないのだが、操作する弁やスイッチが手の届く範囲に入って

いるかをチェックした。

発注していた台湾の会社は最上階から地上までの人の移動を設計段階で上

手く処理していたので、危険な場所などの設計手直しは皆無で、チェック

作業は早く済んだ。

 

台北から高尾まで帰路は新幹線に乗った。

 

この新幹線の車両は日本製だが、それには経緯があって、当初はドイツ・

フランスの欧州連合が基礎工事から車両その他、全てを受注していた。

ところが、ヨーロッパで脱線事故があったことで安全性が危ぶまれた事や、

台湾には大地震が発生するのだがヨーロッパでは大地震がないので地震に

対する知識が皆無であることから、日本の新幹線システムが逆転受注した。

しかし、日本の新幹線は路線の基礎工事から、車体、信号系統、運転訓練、

メインテナンスまでの全てを含めた包括的したシステムだ。

欧州連合は日本の包括システムを不服として彼らの利益確保のために台湾

側と交渉したので様々な問題が残った。

現在はどのように改善されたか私はよく知らないが、かなりの部分が日本

の技術に置き換えられているようにおもう。

 

さて、台湾新幹線では高齢者割引が外国人にも適用されて、運賃が半額に

なっていた。

車両は日本と全く同じだから違和感がない。

椅子の前の袋に観光案内パンフレットがあったので、開けてみ見ると、台

湾語なのだが、我々日本人が昔、使っていた画数の多い繁体文字なので大

体の字が分かるから意味を理解することが出来た。

観光案内パンフレットに記載された各駅近傍の名所は旧日本の庁舎、日本

人設計による建造物、有名日本人の住居のオンパレードだった。

台湾は日本人による建造物や記念物を何十年も丁寧に保存して、誇りを持

って観光資源にしていた。

 

                            しげ坊






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