ある凡人の生涯 主な登場人物 |
イツ子のことを思うとついホロっとしてしまうのじゃが、30を過ぎたば 日々の目覚めの激しい朝勃ちは、手慰み程度では抑えようもなく、年頃の 眼を閉じるとイツ子の女陰が浮かび上がり、夢精の回数も増えてきて、わ そんなわしに気が付いたのは従兄の剛雄兄じゃった。ただ彼は妻帯後独立 和尚の答えは簡単じゃった。 「そんなにやりたかったら再婚したらどうじゃ」 とたんに剛雄兄の顔色が変わった。 「先生!だめです。わしは市兵衛の子のタマ子と市太郎にわしの兄貴の子 「なんでじゃ?」 「後妻は自分の子を溺愛するからです」 「フーム、よし分かった総代に頼んで市兵衛を書記にしてもらうぞ」 「なんで?」 「百姓仕事と書記の仕事をやっとれば、忙しすぎて性欲なんか吹っ飛んで その一言でわしは村の書記になって村役の勉強をさせられたんじや。 青年会のメンバーたちは『何故、市兵衛が書記を?』といぶかしがった。 書記の仕事はわしの性分に合っておったかもしれん。わしは真剣にその仕 忘れもせぬ。イツ子の17回忌の日じゃった。法事が終わった後、和尚様 「剛雄聞いてくれ、市兵衛はわしの指示に従ってよく村の仕事を覚えてく ところで、おまえらは衆道という言葉を知っとるか?男の道は良いもんじ 「衆道(シュドウ)?」 「そうじゃ、剛雄は真面目人間じゃから知らなんだかものう。男色とも言 「ふーん!」 「おいおい剛雄!そんなことも知らんのかい?驚きじゃのう、わしゃお前 ところで市兵衛、お前はさっきから何も言わんけどお前はどうなんじゃ。 「うん、少しはね」 「そなたは剛雄兄が好きなんじゃろう?剛雄はどうじゃ、市兵衛を好いと 「……!」 「なんじゃ、二人とも赤くなり居って……。よーし、わしがお前らを結び 「……?」 「そうじゃ、良いことがある。当山の庫裡の奥の秘密の書庫に、男色の色 ただし、貴重な資料じゃから昂奮して雄汁を飛ばして汚してはならんぞ! わっはつは!」 「……?」 「市兵衛さっそく貸してやるから、明日の晩剛雄を呼んでふたりで一緒に 見終わったら一緒に風呂へ入るんじゃ。一緒にじゃぞ。へへへへっ」 成るように成ったわいのう。 ちょっとグジグジしている剛雄兄がウケることになったのは自然の成り行 あれから死ぬまでの約30年も続いたんじゃ。良か人生を送らせてもらっ (つづく) |